虹彩の宝石箱 小説置き場

一次創作“虹彩の宝石箱”の関連小説置き場

2024-01-01から1年間の記事一覧

青銅蒼−4 ひとり

ふと気が付くと、一人で立っていた。 建物の中じゃない。外だった。どこか見覚えがあるような景色。 ここ、どこだっけ。 いつの間にか降ってきていた雨が座り込んだ僕の体を濡らす。 ああ、ここは──あの日。叔父に会ったところだ。 僕が住んでいた村からも、…

青銅蒼ー3 不運続き

二人きりになってから数年。どのくらい経ったかも忘れてしまった。 言うほど長い時間は経ってないような気もする。数えてないから分からない。 ✽ 天井を見上げる。ここに来てすぐの時も思ったが、随分豪華な灯だ。もし落ちてきたりでもしたら、ただじゃ済ま…

青銅蒼-2 血の海

男の子と出会ってから、結構な時間がたった。 あれから頻繁にあの子と会うようになって、いくつか分かったことがある。 まず。村の人達が話していた“化物”は、どうやらやっぱり彼のことだったらしい。 昔から災害や事故が起こるのが何となくわかる──と、言っ…

青銅蒼-1 白髪の男の子

人間で言うところの小学生くらいの頃。 僕には昔、母さんと双子の妹の藍、2人の家族がいた。 藍は僕と違って明るくて社交的。母さんも少し抜けているところがあるとはいえ、とても優しい人だった。 ……温かい、幸せな家族。 藍は普段友達と遊んでいて、僕も時…